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- Monthly Whiplash「月刊WHIPLASH vol.81」
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SOUND CORNERvol.81
『ALL HELL BREAKS LOOSE』
BLACK STAR RIDERS

たしかにこれはTHIN LIZZYではない。だがLIZZYっぽくしているのが、THIN LIZZYで故フィル・ライノット師と曲を書いていたスコット・ゴーハム師というより、Gのデイモン・ジョンソンと元THE ALMIGHTYのリッキー・ウォリックであるというのがおもしろい。たしかにウォリックはアイリッシュだし、その意味ではLIZZY節を継承することに意味があるのかもしれないが。
聴いていくほどにTHIN LIZZYを感じるが、そこここにTHE ALMIGHTYや、時にふと故ゲイリー・ムーア師を感じることもある。
他人はどうあれ、高校生の頃からTHIN LIZZYやゲイリー・ムーアの音楽に親しんできた自分には、胸のあたりがキュンとなるロックだ。やはり曲としては、シングルになった「BOUND FOR GLORY」が抜きん出ている。多分2013年の個人的BEST TUNEになるだろう。明朗なHRソングだが、そこに仄かに漂う哀愁は、「けっして勝てないことを知ってる」自分たちに、ホロ苦さと「そんなもの百も承知」とばかりに立ち上がらずにはいられない何かをもたらすような気がする。
最近の愛聴曲
- 全曲『ALL HELL BREAKS LOOSE』 / BLACK STAR RIDERS『ALL HELL BREAKS LOOSE』
*THIN LIZZYあらためBLACK STAR RIDERSの1st。祈・来日。
- EVIL HAS NO BOUNDARIES / SLAYER『SHOW NO MERCY』
- THE ANTICHRIST / SLAYER『SHOW NO MERCY』
- BLACK MAGIC / SLAYER『SHOW NO MERCY』
- ANGEL OF DEATH / SLAYER『REIGN IN BLOOD』
- POSTMORTEM~RAINING BLOOD / SLAYER『REIGN IN BLOOD』
*GW最終日の朝、知人からジェフ・ハンネマン師の訃報メール。闘病中というのは知っていたが…。SLAYERを初めて知ったのは『SHOW NO MERCY』。ラジオで流れた「BLACK MAGIC」でした。で、アルバムを買ってビックリ。なんやこの速さ!なんやこのメチャクチャさ!そこには破綻一歩手前のせめぎ合いがありました。で、そのアブナさが気に入ったわけ。次の衝撃はやはり『REIGN IN BLOOD』でしたね。「CHEMICAL WARFARE」や『HELL AWAITS』もガツンときましたが、『REIGN ~』は完全にブッ飛んでた。その後のアルバムもずっと聴き続けていますが、あれほどの衝撃はなかった。あの時代に『REIGN~』は刺激的すぎた。スラッシュの源流でありエクストリーム・メタルの地下水脈であり、SLAYERという押しも押されもしない1ジャンルの牙城を築いた原動力でもあったと思います。R.I.P。
- 全曲『IRON MAIDEN』 / IRON MAIDEN『IRON MAIDEN』
- 全曲『KILLERS』 / IRON MAIDEN『KILLERS』
- 全曲『THE NUMBER OF THE BEAST』 / IRON MAIDEN『THE NUMBER OF THE BEAST』
*ハンネマン師の一月ほど前、クライヴ・バー師が死去。こうやって聴きかえしていると、初期MAIDENのあまりに特徴的な音楽には、あの個性的なドラミングが大きく関与していたことをあらためて実感。R.I.P。
- UNBROKEN / DEMON『UNBROKEN』
- WINGS OF STEEL / DEMON『UNBROKEN』
*驚きだ。まったく衰えていないデイヴ・ヒルのVo。衰えてないどころか、一層の表現力と味わいが出て素晴らしい!英国風味満載の湿ったHR/HM。
- 全曲『THE LAST SPIRE』 / CATHEDRAL『THE LAST SPIRE』
*あまりに遅くてあまりに異形であまりにディープだった1stへの回帰性がにじむ。「1stとあわせてブックエンドの両端」というのも頷ける。CATHEDRALの終焉は実に残念だが、彼らが作り上げた最後の異形であり偉業に敬礼したい気分だ。ブリティッシュ・メタル、70'Sロック、サイケ、フォーク、プログレ、クラスト等のエッセンスが、静かに煮え立ったドゥームメタルの鍋の中で、沸騰時の泡のように顔を出しては溶けていくようだ。