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SOUND CORNERvol.98
『THE YEAR THE SUN DIED』
SANCTUARY

はるか昔の2nd『INTO THE MIRROR BLACK』に続く3rd。『INTO〜』のスタイルを継承しつつも、そこにはやはりNEVERMOREの影がちらつく。約25年ぶりのSANCTUARYといえば、たしかに妥当だろう。楽曲は練られているし、もちろん演奏は申し分ないし、その音像もイメージ通りだし、純メタルアルバムとして高品質なのは間違いない。しかし、何か…かつてふとところどころで感じられた儚さのようなものが、ここではほぼ消えている気がする。自分は滅びの前の弱々しい明滅のような、あの感覚が好きだったのだが、そこまでつつくのはないものねだりだろうか…。
最近の愛聴曲
- 全曲『OBSIDIAN CONSPIRACY』 / NEVERMORE『OBSIDIAN CONSPIRACY』
*SANCTUARYの『THE YEAR THE SUN DIED』には、もちろんこの流れが濃厚。
- 全曲『DEATH PENALTY』 / DEATH PENALTY『DEATH PENALTY』
*SABBATHやWITCHFINDER GENERAL直系というより、いかにもギャリー・ジェニングスというリフに、浮いた感のある女性Voが乗るHM。ミスマッチのようで、いや実はこれが必然のようで…。ドゥームというよりもNWOBHM的だ。ボートラの「Dr.GORI」は「宇宙猿人ゴリ」なのか(笑)。懐かしいなあ、ラーの最期はかわいそうだし、ゴリの最期も涙を誘うよなあ。
その特撮、追放された天才科学者ゴリが腹心の軍人ラーとともに逃げ出し、宇宙を放浪しつつ、美しい地球に目をつけたのだが、そこでは人間がその美しい星を破壊しかけていて、それに憤ったゴリは人間から地球を奪おうと、あれこれ画策するというストーリー(←たしかそう記憶している)。こうして見ると、ゴリはたんなる侵略者の悪者ではない。しかし、美しい地球を手に入れて人間の手から守ろうとしたゴリが敗れる…これはなんとも暗示的ですよね。この特撮ができたのは、たしか高度経済成長期でした。経済は成長し産業は隆盛したが、同時に深刻な公害問題多発の頃。よくある子供向けの怪獣モノではなかったわけだ…とオトナになってから気づきました。そして現在でもこのタイプのストーリーは、環境問題だけでなく様々な問題において、現実世界で引き継がれています。そしていつもゴリは敗れるのです。現実世界が架空特撮と異なるのは、勝者はこの種の敗者に対して、情けも哀の感情も持たないこと。 - SOMETIME YESTERDAY MOURNING / THE SKULL『FOR THOSE WHICH ARE ASLEEP』
- THE LAST JUDGEMENT / THE SKULL『FOR THOSE WHICH ARE ASLEEP』
*元TROUBLEのエリック・ワーグナーのニューバンド。この2曲はボーナストラックになるらしい。あの時代のTROUBLEが帰ってきた。アルバムにも期待大。
- THE DOGS OF WAR / PINK FLOYD『A MOMENTARY LAPSE OF REASON』
- SORROW / PINK FLOYD『A MOMENTARY LAPSE OF REASON』
- 全曲『AMUSED TO DEATH』 / ROGER WATERS『AMUSED TO DEATH』
*今再びこのロジャー・ウォーターズのアルバムが重い意味をもちはじめたと思う。