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SOUND CORNERvol.124

『LET THERE BE ROCK』
AC/DC

LET THERE BE ROCK / AC/DC

最近とみにシンプルであることに惹かれている。音楽もそうだが、人間関係もそうだし、自分自身も余分なものを削ぎ落として身軽になろうとしている。それはいざという時、身軽なほうが楽だろうな…と思うことが増えてきたからだ。そして仕事中も運転中も最もスピーカーから流れる頻度が高いのは、シンプルなAC/DCである。それも故ボン・スコット時代である。なぜかかつてメタルに分類されることも多かったAC/DCだが、それは強烈な音圧とブライアン・ジョンソン師のしゃがれつつも鋭い声によるものだろう。『LET THERE BE ROCK』にはメタルの匂いはない。イキがよくて、茶目っ気もあって、騒々しくて、どこかバカバカしくて、猥雑なR&Rが詰まっているのだ。猥雑といえば、故ボン・スコット師の声ほど猥雑な声はないと思う。もちろんこれは最大限の賛辞である。そしてバカバカしさといえば、アルバムの最後を飾る「WHOLE LOTTA ROSIE」である。ホンマにどーでもいい歌詞である。もし実際にそんな42,39,56のROSIEさんが出てきたら逃げ出してしまうかもしれないが、この曲のもつ問答無用のノリは、初めて耳にした16歳の自分を、一瞬でロックの世界に連れて行ってくれたのだ。チャリで高校に通学する時も、よくこの曲を口ずさんでいたものだ。16歳のガキが口ずさむには、かなり不似合いな歌詞だけどね(笑)。自分にとってだけでなく、この曲は全世界のロック好きの偉大なるアンセムである。これほどバカバカしい歌詞のアンセムはおそらく他にないと思う。そこがまたスゴイのである。そういや、サハリンに行った時のこと。同行したハバロフスクのミハエル氏の着ていたジャケットに少し鋲がうってあったので、もしや…と思って「ミハエル、ひょっとしてアンタはロックが好きか?」と尋ねてみた。すると「もちろん!でも何でわかった?」とかえしてきたので、「そのスタッズだ。そこからロックの匂いがする」と答えた。そこからは「KUNIはどんなのが好きなんだ?」「いろいろ好きだが、ALWAYS FAVORITEとなるとMOTORHEADとBLACK SABBATHとAC/DCだな」「GUNSとかは?」「もちろん好きだ。もっとメタリックなのもよく聴いている。スラッシュメタルも好きだ」などという会話が続いたのだが、ふと「ではAC/DCで一番お気に入りの曲は何だ?」ということになった。その時ふたりの口をついて同時に出たのは曲名ではなく「Wanna tell you story…」という歌詞だった。もちろん「WHOLE LOTTA ROSIE」の冒頭部である。思わず笑って拳を合わせたね。ちなみに「WHOLE LOTTA ROSIE」と同じぐらい好きなのがあるぜとミハエルが言って、同時に口をついて出たのは「Livin' easy, lovin' free…」という歌詞だった。もちろん「HIGHWAY TO HELL」である。ロックは世界をつなぐ。\m/

最近の愛聴曲

  • SQUARE HAMMER / GHOST『POPESTAR』
  • 全曲『IN HIS INFERNAL MAJESTY'S SERVICE』 / WITCHERY『IN HIS INFERNAL MAJESTY'S SERVICE』
    *いわゆるブラッケンド・スラッシュ。生々しい音像で、R&Rやパンク風味も混ぜこんで爆走。意外にキャッチーな曲もある。ライナーノートを読んでみると、スタジオで鳴ってるようなナマなドラムサウンドに特に思い入れがあったようだ。パワー不足をブーストでごまかすようなメタルドラムってイヤだもんね。
  • 全曲『IN THE COURT OF THE CRIMSON KING』 / KING CRIMSON『IN THE COURT OF THE CRIMSON KING』
  • 全曲『RED』 / KING CRIMSON『RED』
  • 全曲『BRAIN SALAD SURGERY』 / EMERSON,LAKE & PALMER『BRAIN SALAD SURGERY』
    *グレッグ・レイク師、死去。特に「MOON CHILD」「EPITAPH」「COURT OF THE CRIMSON KING」「STARLESS」あたりが沁みる。R.I.P.
  • 全曲『HIGH VOLTAGE』 / AC/DC『HIGH VOLTAGE』
  • 全曲『DIRTY DEEDS DONE DIRT CHEAP』 / AC/DC『DIRTY DEEDS DONE DIRT CHEAP』
  • 全曲『LET THERE BE ROCK』 / AC/DC『LET THERE BE ROCK』
  • 全曲『POWERAGE』 / AC/DC『POWERAGE』
  • 全曲『HIGHWAY TO HELL』 / AC/DC『HIGHWAY TO HELL』
    *うるさすぎる曲、速すぎる曲、複雑な曲、まして変拍子系はどうしても仕事の邪魔になる。というわけで、ド・メタルやスラッシュはダメ、プログレメタルはダメ、変態プログレやフランク・ザッパはもっとダメ。日本語のモノはつい耳が歌詞を追うのでダメ。となると、ノリがよく適度なテンポのAC/DCが◎。故ボン・スコット時代のレコードをかけながら仕事をしている時間が長かったです。ブライアン・ジョンソン時代では「YOU SHOOK ME ALL NIGHT LONG」が、個人的に最も仕事がはかどるテンポです。
  • THE BALLAD OF JANE / L.A.GUNS『COCKED AND LOADED』
    *長生きしてるといろいろあるわな…。