海外逃避行
2012 Malaysia
2012 Malaysia
マレーシア
旅程
[Flight]
Osaka(KIX) x Kuala Lumpur(KUL) ― KIX 10/15 16:55 - KUL 22:40
Kuala Lumpur(KUL) x Osaka(KIX) ― KUL 10/24 01:00 - KIX 08:25
タダノリ氏ことFRA・K氏の現地視察に同行して、マレーシアに行ってきました。当初はマレー半島以外にも足を伸ばす予定でしたが、雨季の増水と濁りのため直前で不可。おかげで荷物は少し減りましたが、楽しみにしていただけに残念でした。そして現地に入ってからも急激な雨季の進行により、またひとつ入る予定の場所と魚種をキャンセルせざるをえなくなりました。川が増水してソ上が極めて危険であるという判断によるものです。無理して行けたとしても、滝のような雨の中でテント生活ってのもどうかと思うし…。そんなこんなで大幅に予定変更。雨季の入りが浅い場所を点々と回ることに。それでも強烈なモンスーン・レインのため釣りを切り上げなければならなかったり、雨による水温の急低下で魚の活性が著しく低下したりで、釣りのコンディションとしては良好とはいえませんでした。でもまあ初めての国(タダノリ氏は4回目ぐらい。さすが旅行会社の社員だ)だったし、現地のいい人たちにも会えたし、個人的には有意義な日々を過ごせました。ほんの少しぐらいはタダノリ氏の「視察」にも貢献できたかな。う~ん、あんまりできてないか…。すまんのう。
今回はエアアジアXという格安航空会社の便で行ってきました。荷物は事前に重さで申告して、その分の料金を払うことになっています。格安だけに様々なサーヴィスはことごとくカット。モニターもなければ機内食も事前申し込み制、さらには毛布も有料貸し出し制でした。空の上は冷えるので、「金を払ってまで毛布を借りるのはイヤだ」という方は、スウェットの上など羽織るモノを持参することをお勧めします。格安航空会社の便は定時就航に問題があるといわれることがありますが、今回はそういうことはありませんでした。逆に10分早かったかな。
何事もなくクアラルンプールの空港についたがお迎えなし。おかしいなーということでタダノリ氏がガイドに電話を入れると、間違えて本来の国際空港で待っていたというトラブルがありました。格安航空会社(LCC)はそれ用の空港を使うのに。慣れてなかったんやね。1時間遅れで頭を掻きながら現われたガイド君とあいさつをすませて、彼の車にすべての荷物を搭載し一路北へ。なお今回は諸事情により地名は省略いたします。
ちなみに今回のガイドはクアラルンプール在住の現地人。中国系でマレー語、英語、中国語をさらさらと話す人物でした。我々はマレー語も中国語もいっさいムリなので、コミュニケーションは英語。すごくマジメで一見ガリ勉君みたいな印象でしたが、ユーモアのセンスもあるし、実は下ネタも大好きでした。正式にガイドするのは今回が2回目だそうですが、細かいことによく気がつく(ラインのエアノットやリンキングパーツの異常などをすぐに指摘)し、仕事は一所懸命だし、一緒にいてすごく好感のもてる人物でした。また頼みたいヤツです。
北上中のハイウェイでけっこうな雨をくらい、なんかイヤな予感。マレー半島以外の場所での釣りが雨季の進行で不可になっていたので、ひょっとしてこの半島もヤバイのかな…と。宿にたどりつき荷物を入れると4時。一瞬でも眠っておくか。わずかであっても寝ると寝ないでは大違いだからね。疲れていたせいか、タダノリ氏の大イビキにもメゲず、すぐに深い眠りに落ちました。この時のイビキのデカさは、ガイド君いわく「ワイルドホグが部屋にいるようだった」とのこと。
1時間ほど寝て即釣りの準備。それが終わると、小さな町に出て朝食。たいてい朝食は中華系の麺類でした。朝食後は一路釣場へ。最初のフィールドはリザーバー。狙いはトーマン(レッド・スネイクヘッド)。話には聞いていましたが、水面のいたるところに枯れた立木が突き出ていて、まるで林の墓場みたい。魚はその中にいて、時々空気呼吸のために水面に浮上。それを見つけて狙い射つわけですが、一瞬で反転して潜ってしまうものが多くやりづらい。この日は午前中はふたりとも完全ボーズ。反応は両名に3回ぐらいずつあったのですが、フックに触れた魚はゼロ。昼過ぎになって、やっとタダノリ氏のダブルスウィッシャーに1本ヒット。それも船ベリでルアーをピックアップする瞬間。ロリ系アイドルに詳しいタダノリ氏だけに、似つかわしくも今回の初トーマンは超ロリ・サイズ(笑)。
上陸して昼食を取り、ちょっと昼寝した後で釣り再開。日中は呼吸数も少ないし、ルアーへの反応も希薄なので夕方に賭けることにしました。その夕方、まずはタダノリ氏のクランクベイトにヒット。氏は過去のトーマン釣りの経験から、クランクやディープダイバーも持参していたので、低活性時にやや下の層の魚も釣ることができたのです。でも自分はトップとミノー中心。表層で捕食するようにならないとお手上げです。そうこうするうちに静かに雨が降り出しました。この雨が吉と出るか凶と出るか…。活性時間帯は近いとふんだので、ルアーはハンドメイドのスウィッシャーに変更。12mほどの距離で起きた呼吸目がけて投げ込み、水面を騒がせる。ルアーが呼吸点を3mほどすぎた瞬間、なんの前触れもなくいきなり水面が割れ、魚がルアーを引ったくりました。ついにノった。立木だらけのエリアから引き出すと、チビ・トーマンの魚影が見えました。確かにカムルチーとはパワーが違う。ファイトのスタイルも違う。さすが遊泳型スネイクヘッド。でもいくら頑張っても所詮おチビさん。あっという間にボートの中に。小さいけど人生初のトーマン。うれしいね。1本目は須らくトロフィーであり、処女作に勝る傑作はないのです。その後、活性時間帯に突入し、すぐに2本目がヒット。周囲の呼吸も増え、ルアーへの反応も増加。たんに夕方というだけでなく、熱帯の暑気を冷ます、静かな雨もよかったのかもしれません。
翌朝はさらに高活性で、トップに次々にアタック。これはスゴイことになりそうだ…とほくそ笑んだのも束の間。そんな時間は30分程度しか続かず、すぐに呼吸を狙っても無反応というお昼モードになりました。この日は夕方から別の地域に行くことになってたので、釣りを早めに切り上げて移動準備。すると急激に空模様がおかしくなってきました。むこうの空から、スコールらしき雲がぐんぐん接近、そして遠く水面を叩く雨の音も聞こえてきました。土砂降りになる前に、なんとかボートを積んで撤収できました。
しかし、次の地域に向かう道中は土砂降り。ガイドも「これはスコールなんてものではなく、モンスーン・レインだ。こんなヒドイ雨の中のドライブなんて初めてだ」と困惑顔。まるで雨雲と同調して走ってるような感じでした。結局4時間以上強烈な雨をくらっていたのかな。料理屋に駆け込み、遅い晩飯をとっている最中に、やっと雨はやみました。
この地域のフィールドはリザーバーではなく野池系。水生植物もいろいろあり、カバーゲームも可能。釣り開始早々からウィードレスプラグやバズベイトに小アタリがポツポツありましたが、フックアップにはいたらないので正体は不明。そのうち湿生植物際でなんか黄色っぽい魚がアタック。ガイドが「ピーコックバス。いいサイズ」というが、「えっ、アレでもいいサイズなん?」という感じ。「釣りたかったら7~9cmのミノーやトップにするとイイ」とのことでしたが、「過去に原産国でたっぷり釣ってるからけっこーでございますよ」とルアーチェンジなしで続行。あえてこの地でピーコちゃんを狙うこともないか…と。その後もピーコちゃんはたまにアタってきて、昼食までに10回やそこらは出たかな。近年マレーシアのリザーバーや野池では、けっこう繁殖しているみたいです。でも、あきらかにトーマンというアタリはなく、やっと草の中でおチビさんを1本釣った程度。
自分たちはこんな釣れない状況には慣れていますが、「海外だから爆釣かも」と過剰な期待をして来た人はがっかりするかもね。以前一緒にブラジル・アマゾンに行った知人は、初日にほぼアタリなしの完全ボーズをくらい、「アマゾンまで来たんだから入れ食いだと思ってた。こんなに釣れないこともあるんですか?」と泣きそうな顔してたっけ。どこに行ってもまったくダメなことはありますよ。天気の影響やちょっとした水の変化でも、魚が沈黙するのはきわめて当たり前のことですからね。「釣れない」といってガイドを責めたり、ルアーやタックルのせいにしたり、自分のウデを嘆いたりする必要はありません。不意に好転して食いだすこともありますから。
昼食後入った場所も水生植物が繁茂するエリア。そこで夕方、ウィードレスプラグを使っていた時、突然前触れもなく、大型のトーマンが横っ跳びでアタックしてきました。ぐん!と重みを感じたので、いただき!とばかりにアワセると、いや、ラインテンションをかけた瞬間に、すべての感触が消え失せていました。ルアーがついてる感触さえも。フックが刺さる以前にまさかのラインブレイク。がっかりしながらも「ルアーはゴミになったけど、魚の口に残ってないからちょっとはマシか…」と思い直しつつラインを回収すると、PE#8のダブルラインがリンキングパーツよりも4cmほど上で、刃物で切られたようにスパッと切断されていました。リザーバーや午前中の魚でヤツらの歯の鋭さは知っていましたが、密度はカムルチーと変わらないので、タカをくくっていたのが失敗のモトでした。それにしても、あんな位置を咬むか?アタックした軌道からして丸呑みではないし…。
その後沖合いの沈水植物エリアで、タダノリ氏のルアーを大型のトーマンが追尾。追尾から並走気味になった瞬間、派手にアタック。しかし、残念ながらスッポ抜け。アワセのタイミングは合っていたので、こいつもひょっとしたらフックのない位置を咬んだのかも。「フックに触れてないので、後でもう1回やってみよう」ということでポイントを後に。
このあたりから遠くの空が不穏な色になってきました。同時に風も出てきて雨の予兆が強くなってきました。「このエリアの岸沿いを軽く流してから、さっきのポイントに戻ろう」とガイドがいうので、抽水植物と沈水植物の切れ間をバズで走査。すると前触れなしのアタック。しっかりフッキングしたと同時にドラグは簡単に突破され、ラインはズルズルと繁茂する沈水植物の中に入っていく。間違いなくいいサイズのはず。しかしルアーはバズベイト。藻に絡むペラがついてるし、強度は高いとはいえ所詮バス用に作ったものなので、カバーの奥に逃げ込む大型トーマンと対決するには不利すぎる。力をかけた速攻勝負をすればワイヤーがもたない。抵抗する魚をあやしながら、徐々に藻を切って1.5mほど引きずり出したところでフックが外れてしまいました。残念。
「仕方ない。最後に例の中沖ポイントをやって、明日に賭けよう」ということで、ボートがワンドを出かけた瞬間、ポツッポツッと強い雨滴が落ちてきました。空を見ると雲はいっそう低くなり、例のモンスーン・レインの予感。最初の雨滴を感じてから約1分、ついに雷をともなった大雨が襲ってきました。ボートを風で流されない抽水植物際に停めて、荷物を防水バッグに入れ、雨具を着て背を丸めて耐える。これまでは車での走行中だったり、退避場所がある状況下でしたが、今回は池の上。オーバーハングもなく、さえぎるものはゼロ。雨具を着ていてもボートの底で跳ね返った雨で濡れるし、見る見るうちにボートには水たまりができるし…。そんな状態で約1時間。少し雲が高くなったかな、ずっと向うの方は雨が止んだな、ここらもそろそろ止みそうやな…なんて言ってると、すぐ近くで強烈な雷鳴が一発。思わずボートの上で身を縮める。すると、一瞬にして水面の雨滴が見えなくなり、ついさっきまでがウソのように雨が止み、そこらの薮からは鳥の声までしはじめました。こうなると現金なのが釣師。「さあて最後にもう一丁やっとくか」なんてね。しかし遠くには第2弾の雨雲。あれまでくらったらエライ目に遭うぞ、今日はもうヤメとこうと提案し、撤収することにしました。実はこの時点での撤収は大正解で、車にボートを積んで走り出してすぐ、第2弾の強烈な雷雨をくらうことになりました。
翌日は「朝に活性が高い池がある」ということで、まずはそれをチェックして、昼食後に前日大型が出た池をやることにしました。しかし、昨日の大雨のせいか完全沈黙。ガイドも水に手をつけて「釣れない水温というわけではないが、よくはないなあ。昨日の雨で低下してしまった」と残念そう。いろいろやってみるが小アタリが2度あっただけ。そして「午後からは多少水温も回復するだろう」という希望的観測を粉砕するモンスーン・レイン。これまでは夕方からだったのに、今日は真っ昼間から。もうダメだ。この地域はすっかり雨季に入ってしまったようだ。さらには、翌日から入る予定だった地域のガイドから「雨がヒドくてこちらはムリだ。川が危険な状態になっている」という連絡。うーん、2面を塞がれた気分。さて、どうする?
釣場探しのため各地の人と連絡をとるガイド。もう少し南の方は雨量はたいしたことないという。「ここにいてもまたモンスーン・レインをくらって釣りどころではないから、雨季への入りが浅い地域に行こう。雨は降ってもたいしたことないから、なんとか釣りになるだろう」。そうかい、じゃあそうしよう。ということで、ガイドにまかせて南下。しかし、道中はやっぱり雨。でもこれまでみたいなすごい雷雨ではない。ちょっとはマシみたいだ。
翌朝はガイドの友人も現われて、2艇で釣りをすることに。最初に入った場所ではド太いトーマンのアタックがあったもののルアーにはカスリもせず。沈水植物が水面まで出てるエリアでバズを引いていた時なので、もしフックアップしても藻に絡まれて獲れないだろうな、あんなデカいヤツは。それ以外にも数度反応はあったものの、ルアーに触れたのはドチビが1本のみ。タダノリ氏もハルアンとおぼしきアタリが2回のみ。そうこうするうちに昼食の時間に。昼食を食べつつ、タダノリ氏と「つくづくキビシイなあ」と苦笑い。
昼食後に入った場所では、開始早々に2度のアタック。うち1回はルアーを持ち込んだのですがスッポ抜け。「もしや」と思って回収したルアーを見ると、歯形は頭部の先端のみ。そしてリンキングパーツより4cmほど上のラインに歯形が入っていました。同船してたガイドの友人に見せると、「フロッグ類を使う場合、トーマンは特にルアーの頭を目がけてアタックする傾向がある。一方ハルアンは体は小さくても丸呑みするんだ」とのこと。なるほどね。一昨日のラインブレイクもそういうことだったのか。「トーマンは頭、ハルアンは丸呑み」。それから30分後、これを証明することが起こりました。岸際のブッシュ内で動かしていたルアーに激しいアタック。フッキングとともに引きずり出すと妙に黒っぽい魚体が見えました。船べりまで来たのを見るなり、ガイドの友人は「ビッグ・ハルアン!Too expensive, very delicious!」と喚きました。釣れたのは60cm級のハルアンことストライプド・スネイクヘッド。たかが60cmちょっとの魚だし、即アワセをかましたのに、X.O.SRは完全に口の中に入っていて、リンキングパーツが口の隅から見えるだけ。たしかに丸呑みだ。この魚、美味なので食用に狙われ、釣られたらほとんど持ち帰られるので、こんなサイズが釣れることはあまりないそうです。写真を撮ってリリースしようとすると、ガイドもその友人もふたりして「その頬肉だけでいいから置いていってくれ~」「レストランに売りにいってもいい値がつくぞ~」などとフザケながらもちょっと残念そう。もちろんリリースしましたよ。
「いいハルアンが釣れたので、次はいいサイズのトーマンですね」とタダノリ氏に言われて釣り再開。空模様は怪しくなり雨滴がポツポツ落ちてきたが、10分ほどで小雨も止み、夕方の気配が近づいてきました。すると射程内でトーマンの呼吸。すかさずバズベイトを投入すると水面が割れてルアーが弾き飛ばされました。追い食いがないので回収し再度キャスト。すると同じあたりで今度は引ったくるようなアタリ。しっかりした重みが乗りました。ジリッとドラグは滑るが一昨日のようなパワーではない。たしかに引きは強い。さすが遊泳性のスネイクヘッド、カムルチーとはレベルが違う。藻に絡むのを引きずり出し、ボートの下への突っ込みをかわし、同船者のネットに誘導してランディング成功。やっとマトモなサイズのトーマンを釣ることができました。「トーマンにはいくつかのカラータイプが存在するが、こいつはパープルだね。このエリアではあまり見かけないな。美しい紫色が消えないうちに撮影したほうがいいよ」と同船者。手持ちのカットを撮ってもらい、各パーツを撮ってリリース。今晩はビールが旨そうだ。
いくつかのカラータイプということにかんしては、翌日実感することになります。その日は小型が多いといわれる場所へ釣行。ガイドの友人はさらにもうひとり増えて、自分は小型ボートに3人で乗ることになりました。狭いなあ。仕方ないけど。小型のプラグを引けば40cm程度のトーマンがポツポツ釣れますが、そんなのばかり釣っても仕方がないので、ブッシュ際を派手にバズで走査。その時釣れたまあまあのサイズのトーマンは前日のモノとも、これまで回ったエリアのモノとも異なる色彩でした。ここではタダノリ氏もけっこうな数を釣り(小さいけど)、「これならフライで狙ってもよかったかなー」と余裕。まだ2日残ってるし、フライはそのどちらかでやったらどう?
昼食後、ガイドの友人たちと別れて、前日の場所に行くことにしました。ところがけっこう道がややこしく迷ってしまいました。「この風景は見たよなあ」とか「こんな小屋なんてなかったぞ」とか「こんなクサイ場所は通らなかった」とか、迷走しつつも夕方に到着。さあ1時間だけでもやるか…とカヌーを下ろして水面に浮かべた瞬間、どどっと土砂降り。しばらく小止みになるのを待つが、空を見ると全方向鈍色の低い雨雲がたれ込めた状態。こりゃ止みそうにないぞ。ついにこの地域にもモンスーン・レインがやってきたか。手痛いダメージをくらう前に、土砂降りの中カヌーを引き上げて車に積み、一目散に撤収。実はこの雨、相当しつこく3時間近くも降り続きました。翌日のコンディションが思いやられる。
「なんでKUNI-SAN(新家)はそんなにベリダ(ナイフフィッシュ)を釣りたがるのだ?TOMO-SAN(タダノリ氏)も釣りたいのか?」「なんかカッコええやん。色もヘヴィメタリックだし。昔から気になる魚やったんや」「エサなら釣りやすいが、ルアーではあまり釣れないよ。ベリダが多い場所でも、早朝から昼までやって、いい時でもアタリが4~5回かな…ノラないのもあるし。ダメな時はアタリもキャッチもゼロだ」「そうか、わかった。わかったから案内してくれ」「了解。ところで小型のクランクやシャッド系ルアーを持ってるか?ヤツらにはデッドスローでワイドに動くモノがいい。カラーはマットチャートをベースにしたタイガーパターンに実績がある」「ううっ、そんなルアーはまったく持っておらぬ。適当に代用するわ。タダノリさんは?」「オレはチャートの小型クランクとか持ってますよ」「そうか…。まあええわ。なんとかなるやろし、なんとかするわ」…ということで、ベリダ釣りに行くことに。
岸際に湿生植物が繁茂するブラックウォーターの池にカヌーを出し、ポイントを目指す。カヌーをとめてガイドが説明する。「とにかくデッドスローを心掛けてくれ。そしてコンセントレートだ。アタリは小さい」そんな説明を聞いてると、カヌーから数mのところでベリダがライズ。幅広で薄い体が水面で反転し、鈍い銀色に光りました。釣れなくてもこんな至近距離で見れたからいいやと、半ば満足してキャスト開始。すると数投目に軽く「クン」とルアーを弾く感触。これがベリダのアタリか。たしかに小さいが確実に捕食にきたタイプのアタリだ。これは幸先いいぞ。それから数投後、別のコースをリトリーブしていると、今度は「クン」ではなく押さえ込むようなアタリ。巻きアワセを入れつつロッドのベリーセクションのトルクでしっかりフックを刺す。「のった!」と言った瞬間、色めきたつガイドとタダノリ氏。まさかこんなに早く釣れるとはね。魚は奇妙な引きをしたかと思うと、次の瞬間にジャンプ。おお、けっこうデカイやん。しかしその後がイマイチ。とにかく引かないのだ。小型ルアーを使うため、比較的ライトなスピニングタックルでやってるのだが、ぬぼーとした感触で走りがない。カヌー際まできて慌てて下に突っ込むが、それすらもたいしたパワーは感じられない。ルアーはフック1本でかかってるだけなので、慎重に魚を回してからランディング。ポイントについてから10投以内でキャッチ。ガイドも案内したかいがあったとうれしそう。たしかにカッコいい魚だ。和名のナギナタナマズってのもうなずけるシェイプだ。この場所で釣れたのはスポッテッド・ナイフと呼ばれる種類。側面後方に眼状斑が並ぶタイプ。その数は6~9個だそうだ。とにかく1本釣ったので目的達成。あとはタダノリ氏に釣ってもらわないと。
しかし、後が続かない。ライズはあるものの、トーマンと違ってその周辺を通してもアタリがあったためしがない。基本的に夜行性といわれているし、熱帯の太陽が上りきったら難しいだろうな。さいわい曇り気味なので大丈夫か。アタリがないので対岸に移動。再び自分もキャストしてみる。すると軽いアタリ。ルアーはガイドのお勧めとはタイプも色も違うのに、ちゃんと反応してくれる。ひょっとして自分の選択のほうが正解なのか?それから数分後、ぐんと重みが乗り2本目のベリダが釣れました。1本目のも70cm近くありましたが、こいつはさらにもう少し大きい。でも引きは(T_T)な感じ。ガイドは「あんたはベリダのプロフェッショナルか?」などと笑っているが、開始後2時間も経ってないのに4回のアタリで2本キャッチは上出来でしょう。ところがタダノリ氏にはアタリ2回のみ。通してるコースもいいし、ルアーもガイドのお勧めタイプ。しばらく釣りの手を休めていたが、久しぶりにキャストすると、またしてもアタリ。軽く弾かれたのでそのままリトリーブすると、また小アタリ。しかし口のどこかにフックが触ったようなので、聞きを入れるような巻きアワセ。するとドスンと重み。いや、調子よすぎるわ。3本目やわ。
その後、タダノリ氏には自分のミノーを使ってもらうことにしました。そして正午が近くなった頃、「最後にここをやってダメなら撤収」といわれたポイントで、ついにタダノリ氏にヒット。一瞬「やったー!」なんて叫んだものの、次の瞬間彼の口から出たのは「なんや、この雑巾みたいな引きは!?」。カヌー際まで寄せてもぐだぐだと抵抗するだけ。たまりかねた氏が「アカンなあ、ええのは見た目だけかあー」と呟くと、それが聞こえたかのように突然ジャンプ。2本かかっていたフックのうち1本が外れ、タダノリ氏慌てる(笑)。それが最後の渾身の抵抗だったようです。これでふたりともめでたくベリダをキャッチし、「もう思い残すことはございませぬ」と池を後にしました。
そうそう、奇妙な引きだと感じたのは、ヤツらは長い尻ビレをくねらせてタチウオみたいにバックするからでした。
個人的には釣りはこれで十分だったのですが、タダノリ氏は旅行会社の人だけあって、「トーマンのルアーオンリーの釣堀があるんです。野生のトーマンが釣れなかったお客さんが、とにかくトーマンの顔を見たいと言うかもしれないから、そんな場合のために見に行きます」とマジメに仕事モード。平日でしたが、夕方は仕事帰り風の人も立ち寄ったりで、10数人が釣りをしていました。トーマンよりハルアンの方がよく釣れてたかな。よく釣ってる人を見てると、トーマンは表層速引き、ハルアンは底層遅引きでした。
もう釣りはいいってのに、「最終日朝はフライでベリダちゃんを釣りたい~」と駄々をこねるタダノリ氏。それなら同行しますよ。俺はもう釣らなくていいけど。しかし前日と違って朝から快晴。ベリダのライズはあるものの、フライにはまったく無反応。フライにはそそられないのか、食欲自体がないのかは、自分がベリダ用ルアータックルを持ってこなかったから不明。多分ルアーでやればアタリのひとつやふたつはあったと思うけど。それでも粘ったタダノリ氏、ピックアップの瞬間にトーマンをかけてしまう。小型でしたが#6ロッドだったので、なかなかの抵抗を見せてました。これにておひらき。モンスーン・レインにたっぷり祟られましたが、全釣行が終わってみると、いろいろけっこう楽しめたかな…という感じ。けっこう楽しめたというのは語弊があるかもしれないな、視察に同行したわけですから(笑)。「けっこう充実した」に変更しましょう。ガイドの資質もじっくり見た(合格!)し、釣場や魚についてもいろいろ観察したし、タックルについてもいろいろ見えてきたし、うん、たしかに充実していたと思いますよ。
残念だったのは出発前に当初の予定地が雨でダメになったこと、そして現地についてからも予定地がひとつ雨で入れなくなったこと。次回はこのふたつもチェックしておきたいです。というわけで、来年もう1回?
動物など
その他諸々
今回はガイドのS君、その友人のK君&KV君、ペナンのODさんにいろいろお世話になりました。それとS君のお店のお客さんたちともいい時間が過ごせました。お礼申し上げます。
Special thanx to Sam-san, K.K-san=助平師傅, Kevin-san, OD-san, Mr, Burp Master Usov-san, and customers of Sam-san's fishing tackle shop. See you next year!
それとFRAことフリーライドアングラーズさんにも大変お世話になりました。次回はタコに乗って騒ぎましょう(笑)。
使用タックル
●レッド・スネイクヘッド(現地名トーマン)-1
Rod:RAW DEALER R607RW THE HARVESTER(Whiplash)
Reel:RYOGA 2020(Daiwa) +PE#5G + 50 or 60lb Leader
Lure:DRIVIN' WIRE, SPITTIN'WIRE, NOIZE ADDICT(Whiplash), 自作スウィッシャー etc.
*野池のオープンや水生植物の少ないエリア、リザーバーで使用。ボートからのゲームだし、ドラグが存分に使えるエリアでは、強めのバスロッドで特に問題はないでしょう。しかし、人造湖では立木エリアでの釣りが多かったので、細すぎるラインは禁物です。
*ルアーの色は特に関係ありませんでした。
●レッド・スネイクヘッド(現地名トーマン)-2
Rod:RAW DEALER EXTREME EDITION REX605HX-T THE SCOUT'N'ASSAULT(Whiplash)
Reel:DAIWA-Z2020(Daiwa) +PE#5G + 50lb Leader
Lure:SPITTIN'WIRE, NOIZE ADDICT(Whiplash), 自作スウィッシャー, B'FREEZE GP100SP(Luckey Craft+Ja-Do) etc.
*野池のオープンや水生植物の少ないエリア、リザーバーで使用。ロッドは2pc+ハンドル・オフセットのモデルで、R607RW THE HARVESTERに近い性格です。REX605HX-Tのほうがバットパワーがやや低いかな。少し長くなったREX601HX-Gのトラベル・バージョンといった感じか。国内ではいろいろテストしてきて、その性能には満足していましたが、今回最終チェックということで持参して使用しました。
●レッド・スネイクヘッド(現地名トーマン)-3
Rod:GUN2 ZERO GGZ-74HH3 TRINAL BOUNCER(Valley Hill)
Reel:MILLIONAIRE BLACKSHEEP 300(Daiwa) +PE#8G *後日ザイロンで歯対策を施しました
Lure:X.O.SR, COMA-NZ, D.O.G(Whiplash), ウィードレスプラグのボディを使用した自作プロップベイト
*野池の水生植物エリアで使用。ロッドは2010年からあれこれテストしていた2pc+ハンドル・オフセットのモデル。パワー的にはGGZ-70HHに近いでしょう。相当ヘヴィな水生植物群がありましたが、ボートからのゲームなので、このロッド程度のパワーでも問題はないでしょう。逆に強すぎると持て余すと思います。
*トーマンをフロッグで狙っていると、ルアーの頭部を襲う傾向が見受けられました。ヒドいヤツは頭部どころか、ほとんどラインにアタック。ルアーを水中に持ち込んだのでアワセるとスカ。帰ってきたルアーをチェックすると頭部に傷が少し、そしてリンキングパーツの先端からさらに4cm上に強烈な歯形が入って、ラインが傷んでいたなんてこともありました。彼らの歯は密度は似たようなものの、はるかにカムルチーより鋭いし、口をカプッカプッとパクつかせるクセがあるので、PE#8のダブルラインを一撃で切断することがあります。切削に強いケブラー系やワイヤー等で歯対策をすることを強くお勧めします。一方のハルアンはフロッグ類を丸呑みする傾向があるそうです。自分が釣った60cmほどのハルアンもX.O.SRを丸呑みしていました。なお、トレブルフック付きのルアーで狙う場合は、アタック時にトレブルフックが口のどこかに絡むせいか、丸呑みや頭部襲撃によって歯でラインが切断される可能性は低いようです。
●ナイフフィッシュ(現地名ベリダ)-1
Rod:RAW DEALER R511RR THE LONE JESTER改スピニング(Whiplash)
Reel:CERTATE 2500(Daiwa) +PE#1G + 22lb Leader
Lure:B'FREEZE 65SP(Luckey Craft)
*実はこのタックル、雨で行けなかったエリアでコイ科の魚(1~4kg)を釣るために持参していたものです。「ベリダを釣るなら小型のルアーとそれが使えるタックルがいい」ということだったので流用しました。
*ガイドのお勧めルアーは、5cm程度の小型クランクや6~7cm程度のシャッド、同サイズのバイブレーションです。スローリトリーブでも大きく確実に動くモノがいいそうです。カラーはマットチャートベースのホットタイガーやレッドタイガーに実績があるらしく、そういうものを勧めていました。でもそんなルアーもそんなカラーも持ってなかったので、手持ちの小型ミノーでやってみました。カラーも推薦色とはまったく異なる、パールベースの小魚ちっくなヤツとマジックプレート入りの地味なヤツ。でも諸条件がうまくかみ合ったのか、ちゃんと釣れました。というか、よく釣れました。うーん、困った時のB'FREEZE頼み(笑)。
●もしピーコちゃん(ピーコックバス)も狙うなら…
あまり大きくならない種類のピーコちゃんのようです。フツーは30cm級、50cmあれば相当な大物だそうです。使用ルアーのサイズも考慮すると、ML~Mクラスのバスタックルが妥当でしょう。ただし同じエリアにトーマンもいるので注意を要します。ルアーはトップやミノーなら7~9cmぐらい。ガイドは藻穴にジグ(多分メタル)を入れて釣ることもあると言ってました。
その他装備など
Tackle Box:VS3060(Meiho)
Landeing Tool:Boga Grip(Esta Boga)
Main Camera:EOS50D+EF-S 18-200mm, EF-S10-22mm(Canon) *今回はEF-S10-22mmは一度も使いませんでした
Sub Camera:1030SW(Olympus)
Sun Glass:SERIO ELF & EYE LUSH Lens Color:TV(Zeal Optics), MARDOC-X Lens Color:Smoke(Bouche)
参考までに
受託手荷物総重量 ローリングダッフルバッグ100L(Mont-Bell):約18.5kg, AIR LINERロッドケース(Plano):約6kg
*今回は長さより重さ制度でした。ロッドケースとバッグで総重量25kgで事前申請し、ギリギリでクリアしました。
今回釣れた魚(ルアー)
トーマン=レッド・スネイクヘッド
ハルアン=ストライプド・スネイクヘッド(よくわからんけどプラーチョンと同じ?)
*マレーシアには7種類のスネイクヘッドがいるそうです。
ベリダ=スポッテッド・ナイフフィッシュ(ナギナタナマズという和名がシブイ。七星刀という中国名がカッコよすぎる)
*リザーバーではスポットのないベリダも見ました。無斑の種類のほうが大きくなるそうで、1mを軽く超えることもあるそうです。でも引かないんだろうなあ(笑)。
今回自分たちを悩ませたモノたち
昆虫や節足動物などによる咬傷や刺傷、皮膚下への侵入によるアレルギー反応はありませんでした。蚊はいましたがウンザリするほどでもなく。
●蚊
リザーバーでの休憩中や、ボートやカヌーを車から下ろしたりしている時に刺されましたが、数は少なかったです。休憩中や昼寝中は蚊取線香で撃退。日本にも多いヒトスジシマカに似たヤツが5~6匹たかってくる程度でした。これならウチの庭のほうがヒドイ。
●アリ
釣りの準備をしている時に何度か咬まれました。せいぜいチクッとする程度で痛みの持続はありませんでした。
●日焼け
熱帯なので日焼け止めを丹念に塗るとか、肌を露出しないとか、当然の対処が必要です。
現地で買った物など
今回のガイドさんは現地で釣具屋をやってるので、そこで日本では見かけないルアーをいくつか買いました。たとえばラパラのX-RAPのマレーシア限定(?)カラーのTropical Green ChIclaとか、オーストラリアのディープダイバーとか。それとマレーシアの鳥類ガイドブックや、鳥や哺乳類の小冊子を購入。