海外逃避行
2016 Sakhalin
2016 Sakhalin
サハリン
旅程
[Flight]
Osaka/Kansai(KIX) x Seoul/Incheon(ICN) — KIX 09:30 - ICN 11:20
Seoul/Incheon(ICN) x Yuzhno Sakhalinsk(UUS) — ICN 13:30 - USS 18:35
Yuzhno Sakhalinsk(UUS) x Seoul/Incheon(ICN) — UUS 11:05 - ICN 12:25
Seoul/Incheon(ICN) x Osaka/Kansai(KIX) — ICN 15:20 -KIX 17:05
今回の旅行はいつものような純粋な釣り&自然観察目的ではなく、若干(ホントに若干ですけどね)お仕事の手伝いもかねたものでした。今回も抜粋的にかいつまんで書きます。
当初「釣場までは車で5〜6時間ぐらい」と聞いていたのですが、行き先は北緯51度50分あたりのノグリキという町だという。調べてみると州都からそこまではサハリン鉄道で12時間ほどかかるらしい。そんな距離、車で5〜6時間で行けるはずないやん。今回話をくださった貿易会社のK社長に尋ねると、「ハバロフスクの釣具ディーラーのミハエル氏が車で5〜6時間と言ってきただけで、実態はわからない」とのこと。とにかくなるようにしかなりません。
州都ユズノサハリンスクで1泊し、翌朝ガイドさんたちと合流。聞けばノグリキまでドライブという。時間は11時間以上かかるという。ミハエル氏に「おかしいやんけ」と言うと、「だって俺、サハリンに住んでないからわからんもーん。5〜6時間かなーと思っただけ」という返答。あのなあ…。そして彼が雇ってくれたガイドさんたちも釣りが専門ではなく、いわゆるエコツアー系の人。「だって彼らのプランが安かったんだもーん」。あのなあ…(溜息)。でもガイドさんたち(ユーリさん&ターニャさん。夫婦ではないが同棲してるそうだ)は感じもいいし、ノグリキ目指してロングドライブに出発。
事件はポロナイスクの手前で左折し、原野の中の地道をかなり走り、北緯50度の「日ソ平和友好記念の碑」も越え、しばらく行ったところで起きました。道には尖った石がごろごろしていたので、イヤな予感はしていたのですが、ある時強い衝撃がきて車は制御を失い直後に蛇行。無事道端で停止できたのですが、左前輪がパンク。というかホイールが欠けてました。さらにオイルパンにヒビが入りエンジンオイルがダダ漏れ。これの応急処置とちゃんとした修理のため、ノグリキの町よりさらに北方にある宿泊地に着いたのは01時。11時間ちょっとの予定が17時間近くかかりました。宿の駐車スペースに着いて、何気なく北の方を見ると、夜中なのに空がほんのり明るい。ずいぶん北に来たんやなあ…と実感しました。
翌日は釣り。宿から一路北上して、よさそうな川を探す。途中釣り人のボートがかなり出ていたので釣果を尋ねるが、よくないらしい。ボートからは魚のニオイすらしなかった。「この辺でやろうか」と車はわりと狭い川の近くに停まりました。森の中の踏み跡をたどり、少し開けたところで釣り開始。数投目、足元まで何かが追ってUターン。倒木際やら流れのヨレやら岸際のボサやらをチェックしてると、不意に引ったくるようなアタリ。紅茶色の水中で水玉模様の魚がのたうつ。これがサハリンでの初魚。現地名クンジャことアメマスでした。その後少し下流でガルブシャと呼ばれるカラフトマスもヒット。後日この魚は北海道でもたくさん見ましたが、サハリンのこの川のカラフトのように背が赤っぽく染まっているものは皆無でした。午後には待望のキジュチことシルバーサーモンもヒット。ヒットした瞬間、紅茶色の水中に白銀の光彩が散り、右へ左へといい感じの走りを見せてくれました。自分は喜びつつも冷静でしたが、ガイドのユーリさんが大興奮。早くランディングしたいのか、とにかくラインをつかもうとする。「大丈夫、バラさないから。それにバーブレスやからライン持たれるとヤバいって」などと言ってみたが、日本語はもちろん英語も通じるわけなく(ミハエル氏は英語OK)、想像だけど「何言ってんだ。オレにまかせろ。さっさと陸に上げてしまおうや。晩のおかずはコイツにキマリだ!」という感じで、ラインに手を伸ばしてくる。倒木をかわすより伸びてくる手をかわすのに忙しかったような…。無事ランディングして「やった、キジュチだ!」とユーリさんと握手。この日はあと少しだけカラフトを追加。それにしてもこの川はヌカカが多い。南米でも東南アジアでもこれほどのヌカカに襲われたことはありません。ミントオイルさえ気休め程度にしかなりませんでした。
次の日はもっと北上。ユーリさんはイクラでエサ釣りを始め、小型のガリエツことオショロコマを釣る。自分は森の中を通ってよさそうなポイントを探し、スプーンとミノーでアメマスを数本。せっかくだから…と発売前のTBR-107に変えると倒木際でマメマスが2本。近くでエサ釣りをやってた現地の釣り人がにこにこしながら「お前、また釣ったのか?」と身ぶりで話しかけてくる。見知らん日本人がルアーで連続して釣るので、少し驚いたみたい。
釣り3日目は南下。「明日はタイメンとパイクのエリア」とミハエル氏が言ってたので、強めのタックルも持参。しかし着いた場所は全然そんなところではなく…。たしかにシューカことパイクがいそうな沼や沈水植物のワンドがあったが、どこもダメ。スネイクヘッドもいそうな沼もあったがダメ。ユーリさんに尋ねると「ここらにはタイメンはいない。パイクも少ない。スネイクヘッドはサハリンにはいないよ」とのこと。いくつかの川で釣りをしたものの、K社長がカジカを釣ったぐらいで、自分はメスのカラフト1本とアメマスの食い損ね2回に終わりました。
結局ノグリキの北方の宿で4泊。釣りは3日。州都への帰りはトラブルがあってはいけないので、余裕をもって夜明け前に出発。台風12号の影響でオホーツク海は荒れていて、行きしなに見かけたアザラシは帰りには見ることはありませんでした。帰路はさいわい何事もなく、ほぼ予定通りにユズノサハリンスクに到着。ガイドさんたちにお礼を言ってお別れ。K社長とミハエル氏と自分は、ミハエル氏の従兄弟も一緒に夕食に。とあるホテルのレストラン兼バーで機嫌よく飲んでいると、不意に日本語が聞こえ、ガヤガヤドヤドヤと日本人グループが入ってきました。その品のない賑やかさに閉口。我々が日本で賑やかな外国人グループが騒ぐのを聞いて不快になるように、サハリンの人たちもイヤな気分になるのでは…。現地の人どころかK社長はさっさと退散。自分はしばらくミハエル氏たちと飲んでいましたが、うっとーしくなり撤退。その時、日本人グループの幹事みたいな人が「あなたは日本人ですか?」と話しかけてきました。そうだと答えると「すみません、うるさくて…」と。で、「賑やかなのはイイけど、ハメ外して日本人の恥さらすんやないぞ」と釘をさしてレストランを後にしました。この時、酔いもあったせいか(ビール500mlx2、バカルディ・ブラックのロックx2、ショットグラスでのウォッカ一気x4)、つい数日前まで滞在していたノグリキの北方の宿を懐かしく思いました。あそこは品のない騒がしさとは無縁だった。そしてホテルの部屋に戻ってターニャさんがくれたリンゴをかじりつつ、原野の中を流れる紅茶色の川と、彼女が作ってくれた野外での食事、つまみ食いした野生のベリー類を懐かしく思い出しました。
翌日は町の釣具店まわり。つまりはK社長とミハエル氏の営業に同行。たいていのお店には、コーリュシュカ(ニシキュウリウオ)釣りのサビキやブラーが並んでいました。ルアーではスプーンが中心。日本モノではCHINOOKをよく見かけました。また、スピナーもけっこう多く、プラグは少なめ。ミノーとバイブレーションを見かけましたが、ウラジオストクでよく見かけたネズミのルアーは見かけませんでした。一軒、驚いた釣具屋さんがありました。何と壁一面タスマニアン・デビル。そしてメップスとブルーフォックスの大型スピナーがずらり。さらにはスプーンもたくさん。ロッドラックには少ないながらもシルバークリークAGSも。ここはタスマニアン・デビルの正規ディーラーもやってるそうで、他の店と比べて店主も釣りに詳しそうな人でした。K社長が持参してたバレーヒルのカタログに載ってるワタクシの写真を示して「これがここにい る彼だよ」と言うと、写真と自分を見比べて「そうかそうか」とニコニコ。そしてカタログをパラパラめくりつつ、目を止めて指差した先にはTBR-107。「今これを持ってないのか?」と聞くので「来年発売予定。持ってきてクンジャを釣ったけど、釣具はみんなホテルの部屋に置いてきてしまったよ」と返答。興味をもってくれてうれしかったなあ。
某ミハエル氏のブッキングミスのため現地での予定が狂い、州都での滞在日数が減りましたが、まあなんとか最後には辻褄があったような旅行でした。再び釣りのためにサハリンを訪れるか?といわれたら、なんともビミョーですが、いる場所には大きいタイメンもいるそうなので、もし機会があれば本格的なフィッシングガイドさんを雇って釣りをするのもいいかな…と。でもハバロフスクやウラジオストクの人から声をかけてもらってるし、やっぱり行くなら大陸の方かな。マガダンやカムチャッカにも死ぬまでには一度行っておきたいしね。
生物など
町にて
Special thanx to Kitazumi-shacho, Michael-san, Yuri-san, Tanha-san, Mitarai-jomu, Yorigami-bucho, Megumi-san
Main Camera:EOS50D+EF-S 18-200mm
Sub Camera:TG2(Olympus)
Sun Glass:CEREBRO Lens Color:TVS(Zeal Optics), SERIO ELF Lens Color:TV(Zeal Optics)
★Tackles
[For Salmon&Trout-1]
Rod:RAW DEALER R7△△RSL2 THE H△△△△N R△△△△R_test(Whiplash)
Reel:15 CATALINA 100SH(Daiwa) + PE#2.5 + 30lb Leader
Lure:CHINOOK S 14g,17g(Daiwa), MIDAS-S 90mm, TBR-107SP-test final(Whiplash)
*今回のエリアは森の中を流れる小規模な川が多く、流れは複雑だし蛇行しまくってるし、上も横も木だらけだし、水中にも倒木や沈木が多かったので、ラインやリーダーをやや太めにしました。サケ科の中でも「よく引く」といわれるシルバーサーモンをカケた場合にも、根ズレでラインを飛ばされることなく、確実に獲りたかったからです。
最初はスプーンに小型タコベイトをつけたのでやってみましたが、タコの抵抗で流れの隙間に沈めにくかったりしたので、アメマス1本とカラフト1本を釣った後、伊勢尼系で自作したシングルフックに変更。ミノーもすべてバーブレス・シングルフックをセットして使用しました。
[For Salmon&Trout-2]
Rod:RAW DEALER R703RS2 THE CROSSFIRE-BSV(Whiplash)
Reel:RYOGA 1016H(Daiwa) + PE#2 + Leader
Lure:CHINOOK S 17g(Daiwa)
*一番上のタックルばかりで出番はありませんでした。
[For Salmon&Trout-3]
Rod:RAW DEALER R705RRL-S2 THE ENTRANCER(Whiplash)
Reel:10 CERTATE 2500/2510PE-H Spool(Daiwa) + PE#1.5 + Leader
Lure:CHINOOK S 10g,14g,17g(Daiwa)
*一番上のタックルばかりで出番はありませんでした。
[For Salmon&…-4]
Rod:RAW DEALER R7△△R△2 THE E△△△△△△△△ER-BSV_test(Whiplash)
Reel:RYOGA 2020H(Daiwa) + PE#3 + Leader
Lure:TBR-107SP-test final(Whiplash), 115-120mm Minnow
*一番上のタックルばかりで出番はありませんでした。
*参考までに
受託手荷物総重量 スーツケース 90L:約22kg, 自作ロッドケース134cm:約4kg
*今回の航空会社の規定では、エコノミークラスの無料受託手荷物は1個のみで23kg以内。寸法は縦横高の合計が158cm 以内。サイズはクリアしましたが、個数において超過料金が発生しました。
今回の昆虫ならびに節足動物による被害
サンドフライ(ヌカカ):30箇所ぐらい刺される カ:3箇所程度刺される 粉ダニ(多分):2箇所
*今回のサンドフライの数は過去最高でした。季節的なものか地域的なものかはわかりませんが、外気温15度でも群れ集まってきます。南米でも東南アジアでも、これ以上のヌカカを見たことはありません。川の上を日本で言うところのユスリカの蚊柱みたいなのが漂いつつこっちに来るなあ…と思っていたら、それがヌカカの群れ。飛翔能力が低いので風があれば流されていきますが、微風や無風状態はサイアク。人体に着地してミントオイルのいきとどかない場所まで這っていって吸血。時計のベルトのあたりや、そで口なんかをやられました。また、サングラスの中に入ってきて目の周辺もやられました。目蓋にまではミントオイルや虫よけを塗ってなかったので、そこもやられました。バグネットやインセクトネットが必要です。もちろん長袖でグローブ必携。川の近くでの食事中にも集まってきたなあ。スープの中に何匹も入るほど…。
カもけっこういましたが、これは大型でしかも鈍臭いのでほとんどやられませんでした。逆に何匹撃墜したか憶えてません。いくら鈍臭いといっても、大群になるとどうしようもありません。とある川の河川敷の林では、このカの大群が襲ってきたので走って逃げました。
今回のその他のトラブル
パンク&オイルパン破損:ポロナイスクの町に入らず西に進路をとり、北緯50度を越えてしばらく走った頃、原野の中の1本道は地道になりました。穴ぼこは多いし路肩のみならずあちこちに尖った石は転がってるし、何かイヤな予感が…。と思っていたら突然車に衝撃が走り、少し蛇行したのちに路肩にストップ。見ると左前輪がパンク。外してみてわかったのですが、タイヤがいったのではなく、アルミホイールが石を踏んで欠損したため空気が抜けていました。まあこれはスペアタイヤに交換すれば済む話ですが、ふと路面を見ると車の腹からエンジンオイルが流れていました。ミハエル氏は「トランスミッションをやってしまったみたいだ」と言ってましたが、自分が見たところオイルパンに飛び石でヒビが入り、オイルが流出してる感じ。クリーナーと耐熱パテがあれば応急処置できるんだけど…。だけどそんなものはないし、誰の携帯電話も圏外で応援の呼びようもない。たまたま通りかかって止まってくれた車の人に頼んで、ターニャさんを乗せてもらって、最も近い村に修理屋を探しにいくことに。そして車の人には応急処置用品を買ってきてもらうことに。随分時間が経った後、その車が戻ってきてクリーナーと耐熱パテを渡してくれた時には心底ほっとしました。しかも彼らは「ありがとう」を繰り返す我々に対し、「困った時はお互いさまじゃないか。気にすんなよ」と、実にさらっとした態度で去っていきました。原野の中の1本道でたまたまアクシデント。そして土地の人の親切に触れた。こんな経験、めったにできるものではないだろう。ユーリさんが車の下に入って応急処置に大奮闘。処置後ゆっくり走り出してわかったのですが、「最も近い村」までは20km以上ありました。あらためて、あの時の車の3人組に深く感謝。で、村の修理屋さんに車をもちこんでオイルパンを外して、ぶっ叩いてカタチを戻して、その後ヒビの修理。その間我々はすることがないので、修理屋さんの前の空き地で、途中で買ったサケを調理して夕食。このアクシデントのおかげで、順調にいっても11時間以上かかる行程が17時間近くかかることに。