海外逃避行
2015 Russia
2015 Russia
ロシア
旅程
[Flight]
Osaka(ITM) x Narita(NRT) — ITM 08:00 - NRT 09:20
Narita(NRT) x Vladivostok(VVO) — NRT 15:40 - VVD 19:20
Vladivostok(VVO) x Narita(NRT) — VVD 13:20 - NRT 14:40
Narita(NRT) x Osaka(ITM) — NRT 16:55 - ITM 18:15
今回の旅行はいつものような純粋な釣り&自然観察目的ではなく、仕事をかねたものでした。そのためこれまでと違って、旅費は自腹ではなく、仕事に自分を抜擢してくれた会社が負担してくださいました。となると、当然遊んでばかりはいられず、出国前からお仕事の準備。そのお仕事にかんしては後ほど…。
ロシアとはいえ、プリモーリエ(沿海州)のウラジオストクは意外なほど近い。実質的なフライトは成田から2時間と少し。モスクワの空港はいろいろ厳しいと聞いていましたが、ここはそんなことは全くなく無事スルー。K社長とともにゲートを出ると、釣具店経営者のアントンさんとアイスフィッシング用品を作っているデニスさんが出迎えてくれた。途中で夕食をとり、当夜はウラジオストク駅の近くのホテルにチェックイン。
翌朝デニスさんの車で北上し、水辺のキャンプ地を目指す。キャンプ地は極東ロシアで一番大きな湖の南方で、湖なのか湿原なのかわからない広大な水域の中に、水路が蛇行しているエリアにある。街からそこまでの風景は草原や林が連続し、ところどころに農耕地や町がある感じ。たまに草地に囲まれた小さな水面や川もある。途中、草原のずっと向こうに街が見えた。ウスリースクらしい。目的地がだいぶ近くなったあたりの小さな町の小さなスーパーマーケットに寄って、水やビールを買い込む。ここでアントンさんと待ち合わせし、車2台でキャンプ地へ。
キャンプ地内には数棟のロッジの他にモーターホーム風なモノもあり、釣り人やハンターたちの拠点となっているようだ。そこのオーナーのセルゲイさんが出迎えてくれるが、とにかくデカイ。背も高いが横もすごい。並ぶと自分の倍ぐらいはあるように見えるだろう。デニスさんも我々の感覚では十分大柄だが、その彼が小さく見える。ちなみに背丈でいうならアントンさんが一番高かった。彼はいつも気を遣って、数人で写真に入る時は必ず少し屈んで写っていたほど。
着いてすぐに昼食になったが、テーブルの上には魚のカラ揚げ。すでに来ていた宿泊客やガイドは、それをつまみながらウォッカをキュッと飲んでいる。K社長が「新家さん、これはアレですよ。スネイクヘッドです」と教えてくれた。自分もなんとなくそんな気がしていました。まずは一切れ食ってみる。これが旨い。これまで食ってきた淡水魚の中でも、十分上位に入る味だ。味付けどうのではなく、身自体が旨いのである。ちなみにここのスネイクヘッドは、日本のカムルチーと同種。英語では「NORTHERN SNAKEHEAD」と呼ばれている。実は今回の旅行の釣りのターゲットはコレなのだ。「ロシアでライギョ」なのである。
昼食後タックルをセットし、釣場に向かう。まずはキャプテンの操船するボートで蛇行した水路を進む。水路の両脇には水生植物の生えた水面が見える。そんな風景が続くのだ。15分ほど走ってボートは止まり、そこでインフレータブル・カヤックを降ろす。陸らしいものはほとんどない。木はけっこう見えるが、近寄ってみると水中から生えているのがほとんどだ。K社長は母船に残って、自分とアントンさんとデニスさんの3名がカヤックに乗り移る。実は自分はカヤックを漕ぐのは初めてで、しかもインフレータブルの軽いヤツだから、まっすぐ進まない。どうしても先端がジグザグに動いてしまう。それでもすぐに体は慣れるもので、狭い場所での方向転換がうまくいったりすると楽しくて仕方がない。そうやってカヤックを漕いで、湿原のような沼のようなものが延々と続く、広大なフィールドで釣りをするのである。
きわめて広大な場所だし、よさそうなポイントだらけなので、魚影は薄いと踏んでいた。なので1発目のアタリがあった時には、逃してなるものか、次のキャストで確実に食わせて仕留めてやる…なんて、ちょっと熱くなったりしたものだ。残念ながらその魚は次のキャストまでの間に移動したらしく、2投目は沈黙だったが、あちこち投げたり引いたりしているうちに、なんとなく付き場がわかってきた。ここにはいるだろうと勘が働いたポイントには、けっこうな確率でついていた。初の広大なフィールド、初のカヤックフィッシングだったが、夕方までに3本のカムルチーをキャッチできた。カヤックでのアワセやポイントへのアプローチ角度も、自分なりのスタイルができた。2日目は他魚種も狙いに遠出するらしいが、そのあたりも水生植物の中にはライギョがいるとのこと。初日にできたスタイルを少し押し進めることができそうだ。
2日目は「日本にいない魚種を狙いたい」というワタクシの勝手な希望で、遠出することに。1時間以上走ると水路の幅はかなり広くなったが、両側には水生植物が生えた湿原と沼がひろがっている。やがて母船はなんてことない場所で止まり、「季節的には難しいが、この川には『PREDATOR CARP』がいる。底から1.5mほどのところを回遊する習性があるので、重いルアーでその層をトレースしてくれ」という指示が出ました。重いルアーを持ってなかったので、カストマスター風の1ozほどのキャスティングジグを借りる。これが「PREDATOR CARP」のマストルアーなのだそうだ。ちなみに「PREDATOR CARP」とは、日本にいるワタカの親分みたいな魚。大きいものは80cmを超える。また、このあたりの水路脇の沈水植物ゾーンには、もっと早い季節ならパイクもついているそうだ。
いろいろやってみたがアタリひとつなし。他のボートで来た釣り人たちも、スプーンやキャスティングジグをつけて、日本人にプレデター・カープを見せてやろうという気遣いのもとに釣りをしているが、まったくダメ。諦めて自分とデニスさんはカヤックでライギョ釣りに。
湿原は実に素晴らしかった。魚がどうのという以前に、見渡すかぎり、360度人為ひとつなくゴミひとつない湿原なのだ。デニスさんと離れてあえてひとりで奥の方に漕いで入り、完全にひとりの時間を味わう。ときに漕ぐのをやめて、釣りもせず、仰向けになって、風に流されてみる。頭上をアジサシが鳴きながら飛んでいく。抽水植物の際でオオバンの家族が平然と憩っている。K社長から「雄大な風景には感動を覚えますよ」と言われていたが、まさにその通りでした。この風景にはただひとつ「悠」の字を当てたいと思います。そのうちデニスさんの呼び声で我にかえり釣り開始。
ここも魚影が濃いわけではないが、いるところにはいる。川を横切ったり、抽水植物の隙間に漕ぎ入れたりしながら、ここぞというスポットに入れていくと水面が割れる。サイズは50〜60cm級のものがほとんどだが、この湿原の規模からすると、とんでもないサイズのライギョが棲んでいても、まったく不思議ではない。この日は鳥の撮影もやりながら(現地の人もこんなに多くのアジサシを見るのは初めてと言ってた)、そして何キロもカヤックを漕ぎながら、要所要所で釣りをして、9本のライギョを手にしました。釣りばかりやってたら、少なくとも1.5倍は釣れていただろう。
この日の釣りにかんする嗅覚は、このエリアをよく知ってるデニスさんより、自分の方が鋭かったらしく、彼は「えっ、9本も!?マジ?」と釣果に驚いていました。
キャンプ地での3日目はお仕事の日。ちょっとした釣りの講習会を開くことになっていたのです。これはアントンさんやデニスさんの発案で、しっかりした道具でのライギョ釣りや、キャッチ&リリースを極東ロシアに定着させたいという意図で企画されたもの。彼らと取り引きのある貿易会社のK社長を経由して、そのお手伝いとして、自分が抜擢されたわけです。道具のセッティングやノット、バーブレスの重要性やルアーのチューニング、そしてキャスティングやアクションにいたるまで、ティー・ブレイクやランチをはさみながら、説明・実演してきました。当初は自分がヘタクソな英語で話して、それをデニスさんがロシア語に訳して、お客さんに説明することになっていましたが、日本語ペラペラのドミさんが現れて、翻訳を買って出てくれたので大助かり。講習会は無事和やかに終了しました。
。
講習会の後は、K社長の「私も1本、スネイクヘッドを釣ってみたい」との意向で、夕方の湿原に向かう。自分は釣りをせずにガイド役。雰囲気はよく、風景もキレイだったが魚は沈黙。デニスさんに1回アタックがあったが、これもフックアップには至りませんでした。
キャンプ地での最終日、午前中は釣りの予定でしたが、冷たい風が吹き、デニスさんいわく「こりゃ、ダメだ」。そうなのだ、7月下旬とはいえ、ここは極東ロシアなのだ。こんな風が吹けば表水温は完全に奪われ、魚の活性は極度に低下することは間違いない。よって釣りをせずに少し予定を早めて、ウラジオストクの街に戻ることにしました。
街ではアントンさんが経営する釣具屋さんに寄ったり、夜のため入ることはできませんでしたが、潜水艦C-56博物館に行ったり、今後の打ち合わせをしたり…。短期間だったし、駆け足みたいな感じでしたが、いろいろと中身の濃い滞在になりました。この感じではまた来年も行くことになりそうな気がします。
生物など
Special thanx to Kitazumi-shacho, Anton-san, Denis-san, Sergei-san, Vassily-san, Guide-san, Captain, Alex-san, Domi-san, Fishermen & Fisherwomen in Primorye, Taniyama-shacho, Mitarai-jomu, Megumi-san
Main Camera:EOS50D+EF-S 18-200mm
Sub Camera:TG2(Olympus)
Sun Glass:CEREBRO Lens Color:TVS(Zeal Optics), MARDOC-X Lens Color:Smoke(Bouche)
★Tackles
[Snakehead-1]
Rod:SERPENT RISING RETRIBUTION TASK FORCE XSR703GX-TF THE AERONAGA(Whiplash)
Reel:RYOGA SHRAPNEL 3000H(Daiwa) + PE#8
Lure:X.O.SR(Whiplash)
[Snakehead-2]
Rod:GUN2 ZERO GGZ-74HH3 TRINAL BOUNCER(Valley Hill)
Reel:BLACKSHEEP 300(Daiwa) + PE#8
Lure:COMA.NZ(Whiplash)
[Predator Carp]
Rod:RAW DEALER R705RRL-S2 THE ENTRANCER(Whiplash)
Reel:CERTATE 2500 w/2510PE-H SPOOL(Daiwa) + PE#1.5 + Leader
Lure:シンキングミノー, スプーン
*季節柄まったくダメでした。現地の釣り人が言うには、プレデターカープは底から1.5mぐらいの層を泳ぐので、重めのスプーンかキャスティングジグがいいとのこと。カストマスターのコピーで1ozぐらいのモノを取り出して、「これがマストルアーだよ」と教えてくれました。ちなみにそのあたりの水深は8m以上でした。このあたりではパイクも釣れるそうですが、こちらも季節柄不在。5月頃には水路脇のウィードエリアに入ってるそうです。
極東ロシアの広大な湿原でのライギョ釣り。魚の大きさや釣果に必死になる釣り人にはまったく向いてないし、そういう人たちには一切お勧めすることはありません。いくらしんどいめをしてカヤックを漕いで水生植物エリアに入っても、いないところには全然いない。そしてそれは自分で入って、方々にキャストして確かめてみなければわからない。しかもいずれも小場所ではないし、目移りするほどよさそうなポイントだらけ。いちいちチェックしていたら1箇所で日が暮れてしまいます。「このエリアにはいない」と判断したら、またカヤックを漕いで数百m移動なんてことはフツーです。事実、現地での2日目はそんな感じで、合計で何キロもカヤックで移動しました。抵抗を受けやすいインフレータブル・カヤックを、風に逆らって延々と漕ぐのは、けっこう体力が要ります。車を岸辺にとめて短パン、サンダル履きで釣りをすることに慣れている人にとっては、想像するだけで「お断り!」って感じでしょう。でも、自然の中に身を置くことも楽しめる人には、そこは釣りのみならず癒しの場であるかもしれません。誰もいない、何の人為も見えない、見渡す限りの湿原の水面にひとりぽつん。聞こえるのは、風が揺らす植物の葉音、鳥の声、時々どこかで何かの魚が跳ねる音。俗事をすっかり忘れて、おおらかな気分になれると思います。なに?そんなの心細いって?そういう人にも向いてないなあ。
*参考までに
受託手荷物総重量 スーツケース90L:約22kg, AIR LINERロッドケース(Plano):約5kg
*今回はK社長の荷物も少し入れることになったので、最近よく使っている80Lのバッグではなく、90Lのスーツケースにしました。10Lってけっこうな差やなあ…と実感。キャンプ地ではお土産として大きなビン入りのハチミツ(2kg以上)をもらったし、デニスさんやアントンさんからもいろいろもらったので、帰りのケースはパンパンでした。いつもの80Lバッグならパンクしていただろうなあ。
今回の昆虫ならびに節足動物による被害
蚊:10数箇所刺される サシバエ:5箇所程度刺される 多分粉ダニ:6箇所程度やられる
*キャンプ地では、蚊は夕方から夜にかけてけっこう現れました。翅にマダラ模様は見られませんでしたが、ハマダラカのようにケツを上げてとまる大型の種類でした。ロッジの部屋にもけっこういたので蚊取線香で撃退というか撃墜。朝、床を見るとけっこう落ちてたなあ。それとヌマカのような、日本のアカイエカぐらいのものもいました。こちらは湿原で釣りをしている時に足を少しやられました。ハマダラ風のヤツは鈍いのか、スコーロンのズボンに平気で数秒間とまったりしていました。そのまま生地越しに刺されたりはしなかったけど、こいつらにはスコーロンは意味をなさないのか?
サシバエには5箇所程度やられましたが、手の指の関節部分を刺されたのは後にキツかったです。というのも、関節の曲げ伸ばしがスムースにいかなくなったからです。これは治るまでに1週間ほどかかりました。
粉ダニらしきのは、やはりキャンプ地のベッドにいたのでしょう。こういうモノにいちいち過敏になっていては、海外釣行はムリかと…。
今回のその他のトラブル
特になし