Monthly Whiplash

vol.174

Mar.2021

月刊「WHIPLASH」MAR.2021 Vol.174 この雑記は適当にダラダラ書いているので、
前回の原稿を渡した日(だいたい各月23日頃)の翌日から、約1カ月のことが出ています。
今回の場合は1月25日から2月23日までです。

NHK北海道推し!の「裏山にヒグマがいる」を見ました。

NHK北海道推し!の「裏山にヒグマがいる」を見ました。ぞっとすると同時にいろいろ考えさせられる内容でした。「臭いがしたらそこにいる」という猟師さんの発言を聞いて、自分が行ったあたりのヒグマの多さ、距離の近さをあらためて感じました。なんであれ自分が臭いを嗅ぎ取ったのは、初釣行時に5回以上、2度目には2回。うち3回はかなり濃厚、そのうち1回は獣舎のすぐそばに立って感じるぐらいの濃度でした。いずれもクマが姿すら見せずに自ら去ってくれたのでよかったのですが、また 北海道に行くことがあれば気をつけないと。いや北海道だけでなく、別の場所でも。 以前、北陸の某沢でクマさんの濃厚な臭いを嗅いだ話をしたら、知人が「あの辺ならヒグマですからね、怖いですね~」などと知ったかぶりでのたまったが、北陸には動物園とかを除いてはヒグマなどおらん。ツキノワや、ツキノワ!

意外に早くDISTURBIN’WIRE 105の
1stショットが上がってきました。

意外に早くDISTURBIN’WIRE 105の1stショットが上がってきました。ヒケもほとんど出てないし実にきれいな仕上がりでした。こうした成形品はそれまでテストやウェイトセッティングに使用していた切削モデルより少し軽くなっていることがほとんど(今回は0.5g軽い)なので、その差を埋め合わせるため再度ウェイトボールも見直しました。さいわいMEKもあるし、ダルマ環も各種ボールも揃っているので、1stショットが届いたその日に計算し、0.5gを埋め合わせるセッティングのテストモデルを数個製作しました。多分これでうまくいくだろうと…。このルアーに付ける専用パーツのサンプルもそう遠くなさそうだし。
アクションテストの結果は良好でした。2モデルのうち一方はこのまま進行します。
もう一方は若干見直しが必要かな…と。重量は極力そのままで配列を変更し、バランス設定をいじろうと思います。

機能的にはポッパー系サウンドを出せるペンシルベイトという感じ。ここ一番というタイミングでジュボッ!とゴボッ!の中間的な音を響かせることができます。それにブレードの回転振動と反射光とクリッキング音がプラス。総重量は5/8ozクラス

テストモデルの写真はPHOTO CORNERに載せてあります。ここらで解説しておきますと、お腹のブレイドはボディと過度に接触しないように、腹部に突起を設けたうえにスイベルを埋め込んで自由度を抑制、しかもテイルに向けたボディ形状を工夫することで、回転に支障のない範囲で接触しクリッターサウンド音を発するように設定してあります。『WALTON』Vol.10の連載内で少し触れている「ルアーにある機能を付加するにあたって~」というのは、この部分のことです。もちろんブレイド形状との相性もあるので、海外モノのウィローリーフブレイドを切ったり削ったり曲げを変えたりして、回転の立ち上がりと安定性、理想的な回転角を模索しました。その結果がウィードレスプラグのチューニング用に市販している「WFウィードレスブレイド」を少し長くした形状でした。地味にまあまあいろいろやってるでしょ?事実と異なる能書きを並べたり、オオゴト言ったりするより、自分は誰も見ていない水面下の地味な作業や工夫を重視したいと思います。

次は側面のシボ加工(ウロコ模様とか)です。先日ベースとなるデータを渡したので、そう遠くないうちに市販品と同じブランク上がってくるでしょう。念のためそれでもテスト。そしてOKなら生産ラインの確保に…。よくある工場丸投げと違ってけっこうあれこれ手間がかかります。その分やりがいがあるんだけどね。こういうのを「面倒くさい」とか「手がかかりすぎ」とか「要領が悪い」とかいう人は、基本的にモノ作りには向いていないと思います。自分はメディアと組んだ派手な広報で売ることはできないので、ちゃんとしたモノを作って地道にやっていきます。そして自分が釣具の開発やデザインにかかわることを辞めた後でも、モノとして評価される製品を作ることができたらいいなと思っています。「THE BEST IS YET TO COME」という表現がありますが、まだ自分はベストを作ってないし、技術も構想力もまだベストに達してないので、まだもう少しこういう仕事に携わっていくつもりです。

ルアーだけでなくプライヤーも作っています。

ルアーだけでなくプライヤーも作っています。実は構想は2年前、実質的な動きは昨年からやっていたのですが、COVID-19の影響で生産国がロックダウンになり、今でも勤労に時間制限がかけられている状態なので、プロトモデルがなかなかあがってきませんでした。どこかのなにかをベースに…というのはなく、ノーズとグリップの比率やトータルシェイプも1から自分でイラストをおこしたようなものです。 現在アルミボディにSUS(ステンレススティール)ノーズのスタイリッシュなプライヤーが多く、しかも随分安価で入手できるようになっています。軽いし見た目もカッコいいものがたくさんあります。しかし、自分はこの手のプライヤーとの相性がよくなく、石垣島のFISHERMANさんのマグネシウムプライヤー以外の3本はあっけなく壊してしまいました。いや、実際にはたいして力を入れたわけではないし、荒っぽいことをしたわけではありません。周りは自分の握力や腕力をすぐに問題視しますが(苦笑)。#5の強化スプリットリングをフックに付けようとしたら先端がツイストしたとか、ST-56#1が魚とのファイトで開いたので、それを元に戻そうとしたら壊れたとか…。それに構造上ヒネリが加わる力への対処が厳しいようです。やっぱり異素材のボルトによる繋ぎに無理があるのかな。それなら総重量は重くなってもいいから、すべてSUSで作ってしまおう…ということで着手しました。

元々自分は工具オタクな部分があって、バイク用にもリール用にもスタビレーやPBなどの海外品、KTCやロブテックス(TVの特番かなにかでオニグルミ割り器を製作した会社。友人の”首から下は25歳の50代スーパーアスリート“が勤務しています)など、国内の信頼できるメーカーのものをそろえていますが、そういう工具からのインスパイアも若干今回のプライヤーに落とし込みました。そして手にずしっとくる重さには心地よいものとそうでないものがあり、それはバランスと触感で変わるということも理解したうえで、できるだけ心地よい重量感になるように設定してみました。よく人間工学を謳ったものがありますが、自分には使用快適感を数値化することはできません。で、握ってみてどうなのか?使ってみてどうなのか?という感覚的なことを数値以外でカタチにしました。手前味噌ですが、1stプロトを触った時、それはほぼ思い通りにいったと感じました。残念なのはPEカットのタングステン刃をつけることができなかったこと。かわりに簡易的なカット刃はついてますので、爽快な切れ味ではないけどフロロやナイロンには十分使えます。PEを心地よくカットしたいなら、やはりそれ用のハサミを携行するのがいいでしょう。特にリーダーとの接続において細かい作業をするには、グリップもちゃんと作られていて刃先が細めの専用ハサミが一番です。先日変更指示書と自分で部分的に削りなおしたサンプルを先方に送ったので、現在は2ndプロト待ちの状態です。そんなわけで発売時期は未定。多分ですが、機能に加えて道具としてのカッコよさも少しは感じてもらえるのではないかと、ちょっとだけ自負しております。

予定スペックを記しておくと、全長:200mm(ロングノーズというほどではない)、2枚合わせ構造、対応スプリットリング:#3-7(特に#4-6に適合)、各部にいろんな機能がついていますが、それにかんする説明はいずれ完品が上がってきた時にします。個人的には南米にピーコちゃんなどを釣りに行く時や、野生バラマンディやトーマンなどのミディアムクラスのゲームに必携かな…と。国内なら青物にも使います。
フックとリングでいうなら、ST-46#やST-56の#2-#1/0と#4-6のスプリットリングを使うゲームには特に好適かと思います。なおこのプライヤーはサテンフィニッシュ&ブラックEVAのWHIPLASHモデルだけでなく、JA-DOカラーバージョン(多分F氏好みのキラキラ系になると思う。このプライヤーに似合うかはギモンですが…笑)も出る可能性が濃厚です。発売が決まったら写真と機能性を公開します。 #8-10の大型スプリットリングの交換などには、プライヤーにお金をかけたくない人には、コンパクトなのに意外なほどの使いやすさをもった、ダイワさんの「ルアープライヤー125H」がお勧めです。大型リングには大型プライヤー…と思いがちですが、実はそうともかぎらないことをこのプライヤーは教えてくれるはずです。自分も発売以来愛用しています。

今月に入ってから覚えているだけで6,7回、海外に旅行に行ってる夢を見ました。

今月に入ってから覚えているだけで6,7回、海外に旅行に行ってる夢を見ました。うち釣りそのものの夢は意外に1回だけ。さすがに夢だけあって支離滅裂で、嘉義の路地から表通りに出たらそこは突然マドリッドの街だったり、どこの国かもわからない街角で南米奥地で世話になった人とビールを飲んでたり、サハリンの荒野のはずれに古い色褪せたコリアンタウンがあって迷い込んだら死んだ友人に出くわしたり…。海外の友人たちからも「そろそろ禁断症状出てるんじゃないの?」と言われるが、たしかにその禁断症状とおぼしきものが、春に向かうにつれ増えてきました。

まあ何であれ終わりのないものはないのだ。いつか事態は変わるだろう。それまでは我慢も必要だと思う。

ここにきてあんな大きな余震があるとは…。被害に遭われた方にお見舞い申し上げます。

釣りではないが、久しぶりに渓谷を歩きました。デスクワークで鈍っているかな?と思いましたが、そんなことはまったくなく、石から石へ、目で見た対象に正確に足を運ぶことができたし、石のぐらつきにも対処できました。垂直に近い急斜面の登降もスムースで、同行した空手の先生が感心してくれました。自分にとっての理想は、以前の「格闘的な強さ」から「野生動物へ」という方向に変わってきました。無駄がなく滑らか、不要なまでの力は使わない、しかしいざという際の地力はあり余るぐらい蓄えてある、回り込んでいるようで実は合理的で最短。狩りをする野生動物の動きには、そういう要素が見て取れます。野生動物ではありませんが、自分にそういうことを身近で教えてくれたのは、これまで暮らしてきたネコたちでした。初代をのぞいて2匹は野良育ちのドネコ(←土着のネコという意味で)。親ネコはウチに子ネコを預けて去っていきましたが、その子ネコは大きくなるにつれて、親から引き継いだであろう石や木を利用した忍びや見事な狩り、運動能力を狭い庭でも見せてくれました。散歩中のリードの外れた小型犬を、木を利用して上から狩ろうとしたのには慌てたけど(笑…引きずり下ろしたので事なきを得ました)。まあ見ようによって、とらえようによって、どんなことも動機になりうるし、参考になるということです。そういえば民家を登ってあっという間に屋根に達したニホンイタチの動きも惚れ惚れするほど見事でした。うらやましい…。

訃報は突然やってくる。

訃報は突然やってくる。ある夜、仕事が一段落したのでボクシングを観ていたら、旧知の人から電話があり、共通の知人が亡くなった旨を告げられた。その共通の知人にはいろいろお世話になった。ちょくちょくお店に行って美味いイタリアンを食わせてもらった。おしゃれなお店なのに、自分たちが黒の皮ジャンを着てぞろっと入っても笑顔で迎えてくれた(内心はコイツら…と思われてたかもしれない)。ワインを注いでもらう時、はしたなくも「もうちょっと、もうちょっと…」などとやっても笑ってすませてくれた。魚介のイタリアンの店なのに、並びの息子さんの店から野生のシカやシシ(いわゆるジビエというやつ)の料理を、こそっと持ってきてもらったこともある。釣ってきたサクラマスを食わせてもらったこともあるし、サットウの身を持ち込んだこともある(もちろんサットウは一般客には出してない。マスターと常連客だけで食べたそうだ)。アナジャコを掘りに行って、帰りにそのまま持ち込んで料理してもらった仲間もいる。たいてい自分たちは一番遅くまで居座っている客だった。自分は大学生の頃からマスターとは知り合いだったので、当時の彼女とも食べに行ったりした。何度も「あれ?こないだの女の子と違うやん」というオヤジ的おちょくりもやられた。釣りネタの後にはたいていエロネタがきた。それも時には自分たちの想像を超えたヘンタイの領域であった。ここ数年は自分の店を持たず、料理のプロデュースみたいなことをやっておられたようなので、友人たちとは「またマスターが自分の店をもってくれたらなあ…」と、よく言ったものである。年齢は自分より少し上、まだまだこれからなのに。とりあえず今は楽しかった思い出に浸ろうと思う。花木さん、安らかに。合掌。

最近の!!な試合

★UFC258 ウェルター級選手権 カマル・ウスマンvsギルバート・バーンズ
隙のない試合運びと抜群の破壊力でウェルター級に君臨するカマル・ウスマンに、元同門のギルバート・バーンズが挑戦。1R、バーンズのパンチが複数クリーンヒットし、ウスマンが崩れるというシーンがあったが、2R、距離をとったジャブからの打撃でウスマンが圧倒しだし、パウンドで決着。試合内容もさることながら、元同門でともに伸びてきた者同士というストーリーも興味深く、それは試合後のウスマンのインタビューからも十分にうかがい知れた。その感動的な内容から一転。ホルヘ・マスヴィダルへの宣戦布告はけっこうな落差。まあこの再戦も観たい気がするが…。

★WBC S.フェザー級選手権 ミゲル・ベルチェルトvsオスカル・バルデス
S.フェザー最強と呼び声の高いベルチェルトに、元フェザー級王者で無敗のバルデスが挑戦。どこかのタイミングでベルチェルトの硬いパンチが当たれば、そこからの連打でベルチェルトが倒しきるだろうし、バルデスが勝つとしたらスピードと技巧による判定だろうな…というのが戦前の予想だった。しかし、バルデスの強気の強振は1Rから見られた。リーチで14cm上回るベルチェルト相手にジャブの差し合いでも勝っている。そして4R左フックのクリーンヒットでベルチェルトが足に来てしまう。このラウンドはダウンだけだったが、最後までカギになったのはこの左フックだった。
回復しかけてはクリーンヒット、ラウンドを支配しかけても最後に被弾…という感じで、ベルチェルトはもどかしかっただろう。8Rにもダウンを奪われるが、10R終了まで残り1秒、足に力が入らないのに追いかけすぎて体が泳いだ瞬間、カウンターの左フックが炸裂。失神KOとなり、オスカル・バルデスが2階級制覇に成功。ふとマニー・パッキャオがフアン・マヌエル・マルケスに失神KOをくらわされたシーンを思い出した。全局面でバルデスの技巧とスピード、そしてなにより意志の力を見せつけられた試合だった。

最近の愛読書

★情報喪失の時代 ビル・マッキベン著 高橋早苗訳 河出書房新社
自分が購入したのは1995年のこと。初版が1994年なので、ずいぶん昔の話になる。この時すでに著者は高度情報社会への警鐘を鳴らしているが、その頃の高度情報化社会は今とはくらべものにならないほどの小さな規模である。しかし高度情報化社会が肥大化すればするほど、著者の警鐘は深刻さを増す。久しぶりに通しで読んでみたが、当時よりも重い。

最近の珍事件

★シカの飛び出し
夕方、三田篠山線を走っていた時、シカの飛び出しをくらいました。深い山の中の細いワインディングだったのでスピードが出てなかったため、ヒヤッとするほどでもなく、余裕をもってやり過ごせました。メスで推定40kg級。シカの方は急斜面を8mほど駆け上がった後は逃げもせず、木陰でこちらをうかがっていました。一眼レフを持っていたので撮ってやろうと窓を開けた瞬間、ヅンっと鼻をつくシカの臭い。1頭ではこんなに臭わないだろうと思ってよく見ると、斜面には小群がいました。道理で臭うはずだ。窓からレンズを出した途端、違和感を察知したらしく「ピイィィ!!」という警戒音を数度発しながら、群れは山の奥に逃げていきました。このあたりの緯度でもう少し東の方では、数年前にツキノワの目撃情報もあります。バスで知られる青野ダムで釣りしてる人たちは、そこから直線距離で5kmほどのところにツキノワが出たことなど知らないだろうな。

最近のお買い物

★特になし

SOUND CORNER Vol.174

『AROUND THE NEXT DREAM』

BBM

奇跡的なジャック・ブルース、ジンジャー・ベイカー、ゲイリー・ムーアの合体によるスーパーブルーズロックバンドというかプロジェクト。CREAMの再編!?とまで話題になったが、アルバム1枚、ライヴ数回で終わってしまった。アルバムはいきなりワウを駆使したゲイリー・ムーア師のギターで始まる。これだけでもいい予感がする。全編を聴いて思うのだが、彼に一番似合うのはこういう古めかしさのあるハードロックとブルーズの狭間の音楽ではなかろうか。そして自らVoをとりすぎるより、ジャック・ブルース師のような歌声とのコラボレーションがハマるのではないだろうか(個人的にムーア師のVoは高音域があまり好きではない)。そのブルース師のベースも存分に主張しているし、ベイカー師のDrもそこかしこに「らしさ」が漂っている。CREAMほどの好き勝手感はないけど、全編に聴きどころはたっぷりあり、やはりその中心になっているのはムーア師のギターワークだ。ジャケット他のアートワークも秀逸。全員虹の橋を渡ってしまったが、彼らの音楽的遺産は今でも自分たちを感動させてくれる。

AROUND THE NEXT DREAM

最近の愛聴曲

全曲 / NIGHT RANGER『DAWN PATROL』
全曲 / NIGHT RANGER『MIDNIGHT MADNESS』
全曲 / NIGHT RANGER『DON’T LET UP』
*NIGHT RANGERをBGMにすると、なぜか仕事がはかどる(笑)。個人的な意見ですが、軽快なハードロックが仕事のBGMには一番です。
南海航路 / CARMEN MAKI&OZ『III』
26の時 / CARMEN MAKI&OZ『III』
空へ / CARMEN MAKI&OZ『III』
街角 / CARMEN MAKI&OZ『III』
昔 / CARMEN MAKI&OZ『III』
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